はちみつ
くまのヒサシは一生懸命に仕事をしました。
若いときから、狩りがへただの、歩くのが遅いだの言われたりもしましたが、一生懸命に働きました。
そして、くまのマリコと出会い、恋に落ちました。
それからしばらくして、マリコとヒサシは結婚しました。
結婚式はささやかでしたが、周りのくまたちに祝福され、とても幸せな気持ちでした。
そして、マリコとヒサシに赤ちゃんが生まれました。
とてもかわいい男の子です。サトシと名付けました。
それからもヒサシは一生懸命に仕事をしました。
マリコもサトシをおんぶしながら、家族のために木の実をたくさんとってきました。
そして、今度は女の子が生まれました。ソヨカと名付けました。
ソヨカが生まれて、ヒサシ、マリコ、サトシはとても幸せな気持ちになりま
した。ヒサシは家族のために、小さな家をつくりました。その小さな家で、家族みんなで仲良く暮らしました。
それからずっとたって、ヒサシは亡くなりました。マリコたちは悲しみましたが、のこされた家族で頑張ることを誓いました。
しばらくして、マリコも亡くなりました。
サトシとソヨカはとても悲しみ、とても不安になりました。
「お父さんがつくったあの家はどうするの?」
「お母さんの木の実は?」
すると、マリコの手紙がでてきました。
サトシとソヨカへ
お母さんは2人を産んでとても幸せでした。あなたたちはとてもかわいい子どもでした。ずっと幸せに暮らして欲しいと願っています。
お父さんが亡くなってからずっと、私の最後の責任は何だろうと考えてきました。親として私のできること。親として私の最後の責任。それは私の亡くなったあとも、家族としていられるようにすることだと思いました。そしてそれは、私の思いを伝えることだとも。これからも家族が続けられるように。あの時のように笑っていられるように。
お父さんがつくったこの家は、サトシにあげたいと思っています。ちいさな、とてもちいさな家だけど、お父さんが一生懸命に仕事をしてつくった家です。大事に使ってくれたらきっとお父さんも喜ぶと思います。そしてソヨカには、木の実がいっぱいとれる場所の地図を書いておきました。そこで、家族のために木の実をたくさんとってきてあげてくださいね。
お母さんが亡くなっても、2人には素敵な家族がいます。家族を大切にしてくださいね。私は大好きだったお父さんと同じ場所で眠りたいと思っています。
本当にありがとう。
サトシとソヨカはたくさん泣きました。たくさん、たくさん泣きました。お母さんがこんなにも愛してくれていたことを思うと、涙がとまりませんでした。
いまでも、2人は思います。お母さんありがとう。
サトシとソヨカの子どもたちにも、大好きなおばあちゃんはいつまでも輝いています。
そして今でも、ヒサシとマリコの眠る場所には綺麗なお花が飾ってあります。ときには、大好きなはちみつも。
文 カネコ サトシ
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