遺産分割には大きくわけて、遺言などで指定する指定分割、共同相続人全員で協議してきめる協議分割があることは、前回お話しさせていただきました。今回は、その後実際に分割する方法です。
広く知られているのは、「現物分割」だと思います。例えば、配偶者に家を、長男には現金をといった遺産そのものを分割する、遺産分割方法の基本モデルといってもいいかもしれません。しかし、現実的に現物分割が難しい場合や、分割することによって遺産の価値そのものが減少することもあると思います。そのような場合には共同相続人で遺産の全部または一部を金銭にかえて(これを換価といいます)その金銭を共同相続人で分割する方法があります。これを「換価分割」といいます。この換価分割でもうまくいかないケースもあります。よくあるケースとしては、実家を長男が相続して、次男、三男には長男が現金を渡すといったケースです。この例の様に、共同相続人のうち特定の相続人が遺産そのものをを取得して、他の相続人に対して債務を負う方法が「代償分割」です。代償分割は、相続財産の現物分割が困難な事業用不動産や自社株などの場合に多く利用されています。共同名義で相続すると、将来的にトラブルになる可能性がある場合に、その防止策として利用されることもあります。