今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
4年前に父が亡くなったとき、遺産をどうするか?という話を母と私を含めた姉妹3人の間でした事があります。
父からは特に遺言のようなものを受け取っていなかったため、法律に則った形での分与をすることになったのですが、相続する資産のほとんどが父と母が住んでいた実家だったため、遺産を受け取るには実家を売らなくてはならないという事がわかりました。
実家を売るとなると、引越し先を探す母も大変ですし、なんとなく私たち姉妹も実家が無くなってしまうのは寂しい気がしました。何か良い案はないかと4人で調べた結果、今回私たち姉妹は相続を放棄するのがベストだろうという結論に達しました。
相続を放棄というと大げさに聞こえますが、実際には書類にサインをし、印を押しただけです。それに今回遺産を放棄したとしても、この先、母に何かあれば、また私たちの所に母の遺産が回ってくるわけですから、緊急にお金が必要なわけではなかった私たち姉妹にとっては良い選択だったと思います。
母は今でも実家に住んでおり、私たちは孫を連れて、たまに母のところに遊びにいってます。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。良い決断をされたみたいで本当に良かったですね。このお声の場合は、遺産分割協議によってお母さんが家を相続されたのですね。相続を放棄とすると良くいわれますが、法的な相続放棄とは、家庭裁判所に対して行う相続放棄のことを言います。これは、原則亡くなったことを知ってから3か月以内にということになっています。遺産分割協議で相続しないのは、法的には相続の放棄とはならないということです。よって万一借金などはあった場合は、遺産分割協議で相続しないからといって債権者から逃れることは原則出来ません。債務については、遺産分割協議などは関係なく、法定相続分で相続するのが原則ですから、借金を相続したくないのであれば家庭裁判所に相続放棄の手続きをとる必要がありますね。遺産分割協議は相続人全員の一致があればいいので、このお声のように遺産分割協議書に署名と押印(実印)すれば、名義変更は可能になります。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡