今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
ある夫婦には男・女二人の子供がいます。夫婦は主人83歳、妻80歳です。平均年齢から見ますと、いつお迎えが来てもおかしくない年齢です。娘は嫁いでいます。息子は同じ敷地内に別棟を建てて4人家族で済んでいます。原因は色々あるのでしようが、結果として母親と息子夫婦とは上手くいっていません。世間的によくあることで別に驚きもしません。住んでいる土地は見かけ上は1筆ですが、実際は2筆で全て父親の所有でしたが、息子が別棟を新築する際母親の同意なく父親だけの承認で所有権を変えてしまいました。
変えたのは数年前ですが、母親は事あるごとに息子に騙されて変えてしまったと言っています。今更所有権をかえるには莫大な費用が掛かりますから諦めざるを得ません。然し何とか息子から金銭を取り、嫁いだ娘にやりたい気持ちでいっぱいです。父親は税に詳しい人に相談した結果、遺言書に「遺留分について私の死後速やかに払うこと」の一文を書き込むことを勧められ作成しました。夫婦は此の遺言で娘にもある程度のことはしてやれると安心しています。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。なかなか珍しいケースだと思いますね。確かに法定相続人への生前贈与は、遺留分算定の基礎財産にはなります。このケースでいうと、83歳のご主人がお亡くなりになると奥様嫁がれた娘さんが相続人となりますのでそれぞれ、相続財産の4分の1、8分の1の遺留分があります。息子さんへ土地を贈与(生前贈与)されたとなると、贈与税等がかかっていたはずだと思いますので、その辺りはどう処理されたのかも気になるところです。(相続時精算課税制度を利用すれば2500万円まではとりあえずは、贈与税は非課税となります。)なので、生前贈与されたその土地が高額であれば、遺留分の問題が当然でてきますが、そうであれば税金の問題も絡んできますね。また相続財産は贈与された土地だけではないはずだと思いますので、預貯金等の他の財産を息子さん以外に相続させる旨の遺言をのこされればいいのかなと思います。土地の評価額次第といったところでしょうが。情報を整理する必要もありそうなので、とりあえずまずは専門家にご相談された方がいいのではと思いますよ。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡