今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
先月の事です。
母方の祖母が他界しました。
そこで私の母を含める4姉妹で遺産を相続することになったのですが…
金額が結構大きく4等分すると1人あたり約500万円。
の、はずが祖母の遺書によると長女である私の母にすべて渡すと書いてありました。
母は大喜びでしたが他の3人の姉妹は認めるはずもなく
その場で大喧嘩になってしまいました。
いったんその場はそれぞれの旦那さん達(私からするとおじさんです)が
それぞれの妻をなだめ、帰って行ったのですが問題はその数日後。
家のインターホンがなったので出てみると
そこには母以外の3姉妹と3人の男の人。
「誰だろう?」なんて思っていると2番目のおばさんが
「この間の遺書の事が気に入らないから弁護士さんをつれてきたわ」と。
よくよく話を聞いてみるとおばさん達3人はそれぞれが別々の弁護士を雇い
実家に連れてきたと…。
結論を言うと、遺産は母に800万。残りを3姉妹で分ける形に。
死んだ祖母の面倒を見ていたのは、母だったので当然といえば当然なんですが。
3姉妹はやはり気に入らないらしく、実家で大暴れした後、
母に対して「あんたはもう姉じゃないから」と
まるで中学生の女子のようなセリフを吐いた揚句に
音通不振になってしまったようです。
お金とは怖いものです。
小さい時から一緒に過ごしてきた姉が
ちょっと多く遺産をもらっただけで
兄弟をやめてしまうのですから…。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。このケースは、せっかく遺言書をかいたのに、なぜかもめてしまったという悪いケースですね。問題点は、ずばり!遺言書は書くだけでは意味がないということです。弊社でもよく言っているのですが、せっかく遺言書を書くのだから、法的にも、税的にも、心にも有効な遺言書を書きましょう。このケースでの問題点は大きく2つあります。法的な問題と心情的な問題です。まず「遺留分」を侵害しているということです。遺留分は、法定相続分の半分くらいと思って頂ければいいかと思います。詳しくは、用語集のページでもご説明しておりますので、ご覧頂ければと思います。遺留分は、非常に強い権利なので、その遺留分には十分に配慮した遺言書が必要ですね。また心情的な問題への対処としてメッセージを遺す、つまりは付言事項を書く必要がありますね。お母様が、亡くなられたおばあちゃんの面倒を看ていたのであれば、だから多めに渡すんだよというメッセージを遺すべきだったとおもいますよ。実務で思うのですが相続での勝ち負けは非常に難しいと思います。結局兄弟や家族の仲が悪くなったり、親族関係がうまくいかなくなったりしては、どちらも大きなダメージを負ってしまうのです。例え裁判で勝ったとしても、多大な時間と労力を使ってしまい疲れはてている方を多く知っています。だからこそ、そのお薬としてのゆいごん書はとても大切なことだと思うのです。
宮崎県行政書士会宮崎支部所属
かねこ行政書士事務所
金子 聡