今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
遺言書って大切です。でもその大切なものは、しかるべきところに預けて初めて効力を発揮するんですよね。
私の友人は早くに両親をなくし、父方の兄弟の、彼女にとってはおばさんにあたる方とかなり親しくしていました。
彼女の家はそれほど大きな家というわけではなかったのですが、郊外の方に広い土地を持っていて、そこが彼女にとっては両親と過ごした思い出の地でもありました。彼女の父親がなくなり、また他の兄弟も同じようにいなかったので、そのおばさんが土地の管理をしていたのですが、前々から彼女がその土地に思い入れがあることを知っていたおばさんは、いつかその土地を彼女にあげると約束していました。元気なうちから必ず遺言書に残しておくと冗談のように言っていたのを、友人の家に遊びにいっていた私も聞いていました。
先日入退院を繰り返していたそのおばさんがなくなり、彼女はとても悲しんでいました。彼女自身は遺言書のことなど全く気にかけてはいなかったのですが、そのおばさんの娘に当たる方が、突然遺言書のことについて彼女に話し出しました。
娘さんいわく、土地を譲るという話を聞かされていたと思うが、あれは冗談で自分の母親は遺言書など残していない。母が管理していたものは全て自分達家族のものだということでした。
わざわざそんなことを言い出す神経も信じられませんが、私にはあのおばさんが遺言書を残しておかなかったとはとても思えません。数ヶ月前に病院に見舞いにいったときも、土地について任せるようにといっていたおばさんです。
だからといって家捜しをするわけにもいかず、友人もそれどころではないようだったのでその場は濁して会話を終えましたが、今でも納得がいきません。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。確かに投稿者の方がおっしゃる通り、遺言の保管は問題になりますね。公正証書遺言は、遺言検索システムというのがあり、平成元年以降の遺言については検索できるようになっています。しかし、自筆証書遺言などは実際に書いたかどうかも不明です。ですから遺言を書かれた場合などは、親族や受遺者の方に伝えておくことが大切です。今であれば写真などをとっておくことも有効だと思います。そして万が一、相続人が遺言を隠匿した場合は、相続する権利をはく奪されます。このお声からも分かるように自筆証書遺言の場合の出口、つまりその遺言を確実に実行するための手立てを準備しておくことはとても大切です。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡