今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
私は、3人兄弟の末っ子です。兄夫婦が、実家で父を介護しながら暮らしていました。姉夫婦は近所で別に生計を営んでいます。私も、近所で生計を独自に営んでいます。
父が元気なときに、私と姉に遺留分の生前放棄を求められ、それに応じました。代わりに、家の頭金を負担するという条件でした。父の家は、3代前が購入したもので、半分は建て替えしていますが大層、立派な造りで大広間は30人は入る広さです。遺留分の生前放棄は、兄に家督の全てを相続させて散逸させない為でした。
やがて、父が亡くなり財産の相続時になって姉が法定相続分の相続を主張しました。姉の旦那の事業が思わしくなく、資金繰りに困っていたのです。そのときに分かったことですが、父は遺言を残していなかったのです。遺留分の生前の放棄と手続きを終えた直後に体調を崩したので書きそびれたようです。
相続には、自由に処分できる部分と自由にならない(遺留分)があります。遺留分を放棄したので、父が自由に処分できる部分が全てです。しかし、この処分することを意思表示した文書がないので、結局はなにもなかったことになるのです。家を売ってお金をつくれば、兄夫婦の住むところがなくなるので、兄が貯金をはたいて姉夫婦に無利息・無期限でお金を貸すことで決着しました。
私は、家の頭金で満足していましたので、ろくに調べもせずに放置していました。ちょっと調べていれば嫌な思いを済んだと後悔しています。
ここがポイント!
お声をいただきありがとうございます。相続放棄と違い、遺留分の放棄は事前にすることが出来ます。ですが、この遺留分の放棄は遺言とセットでしなければあまり意味がありません。このお声のケースにあるように、遺留分を放棄しても相続権がなくなるわけではないからです。ですから、このお声のようなケースを防ぐためにも手続き的には、まず思い描かれた遺言を作られてから、その遺言が確実に実行されるために、遺留分の放棄を行ってもらうという方法がおすすめですね。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡