今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
ご近所の話ですが、2人の兄弟がそれぞれの嫁を交えて、相続分の取り合いでおおいに揉めています。同じ組内ですから、大体の経済状況は分かっています。声を荒立てて喧嘩するほどのことも無いように思うのですが。これだけこじれてしまうと、相続問題が解決しても兄弟関係の修復は難しいと思います。
客観的にみると、同居していた長男夫婦がお父さんを送り、お母さんを送ったのですから長男夫婦の意見が尊重されるべきだと思います。弟夫婦は県外に住んでいて、殆ど顔を見せることはありませんでした。遺産分割の時になって金を寄こせと主張するのはちょっと問題ではないでしょうか。これでは亡くなったご両親も浮かばれないと思います。今後も仏さんの世話やお墓の掃除など全て長男夫婦がするわけですから、次男夫婦はもっと遠慮すべきではないでしょか。
統計では遺産分割トラブルの75%程は、遺産5000万円以下だと言います。遺産は僅かだから問題ないと遺言書を作成しておかないと相続人が揉めてしまいます。ご近所の問題がよい事例です。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。この方のおっしゃる通り、相続トラブルの原因は財産のあるなしではありません。兄弟姉妹が一律に平等というこの制度に問題があるのではと思います。ご両親のご面倒をみてこられたご長男さんのお気持ちはよく分かりますし、こういった問題は数多く見受けられます。確かに寄与分という制度があるにはあるのですが、相続財産の維持または増加への特別の寄与がなければなかなか認められません。ご商売をなさっているならいざしらず、普通のサラリーマン家庭であれば、相続財産の維持または増加への特別な寄与など認められにくいからです。療養看護型の寄与分が認められた裁判例として、昭和61年の盛岡家庭裁判所の事例が有名です。被相続人の認知症が進行してから死亡されるまでの10年間、常に付き添って療養看護につとめた相続人に対し、同居の親族の扶養義務をはるかに超えるものがあるとして1182万円が寄与分として認められた例です。ただこの場合も裁判になっていることから相続トラブルになっていたことが予想されます。この声のようなケースにも、遺言書が有効です。何をもって平等とするのか?それはケースバイケースだと思います。だからこそ、それぞれにあった遺言書が必要なんだとおもいますよ。
宮崎県行政書士会宮崎支部所属
かねこ行政書士事務所
金子 聡