今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
人がなくなるだけでも、葬儀を出したり荼毘に付したりと、色々とすることがあり、残された方は大変です。
しかし、もっと大変なのは、被相続人が多額の相続財産を所有していた場合です。
通常は、法定相続分と言って、配偶者が半分、子供たちが残り半分の財産を相続します。
しかし、事前に被相続人が遺言を作成していた場合、遺留分を害しない範囲で、法定相続とは異なる相続分の定めをすることも可能です。
私の親戚がなくなった時、被相続人となる祖母さんには配偶者はおらず、3人の子供がいるだけでした。
そのうちの2人は、祖母さんが介護が必要となる状態となっても何一つ手伝おうとしませんでした。
そこで、残された1人の息子とその奥様が介護を行っていました。
しかし、実際に相続が開始したときに、介護をしなかった2人が多額の相続分を請求してきたのです。
そのため、残された1人の息子との争いが始まりました。
介護などを行うことで、財産寄与分が増したとする遺言があったため、残り2人との調停が始まりました。
話し合いは半年に及んだ結果、残された1人とその妻の財産寄与分が認められました。そこで、実際の法定相続分とは異なる相続分が認められ、無事に相続問題は解決しました。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。このお声の場合は、遺言の無効が争われたケースということでしょうか?そもそも遺言は、法定相続分と異なる相続分を相続させることが目的です。ですからこのお声のケースのように、介護をしてくれたお子さんに多く相続させたい場合は遺言を書くのが一番です。遺言があれば、その通りに相続することになります。しかし、「その遺言が無効だ!」との争いになったケースや、「相続人全員一致で遺言と違う分配を決定した」場合、「遺留分を侵害した遺言」などで遺留分減殺請求が行われたなどの場合は、例外的に遺言の内容通りにいかない場合もあるということです。よく遺言がもめる原因だと勘違いされている方もいらっしゃいます。しかし実務では、言葉も思いも何も残っていない状態の方がもめることは明らかです。あなたの意思や思いを残すこと。それはとても遺されたご家族にとってもありがたいことなのです。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡