今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
何年前になるでしょうか。
ファミリーカンパニーで暮らしていたけれど、景気の悪化とともに業績悪化で給料が出ない。堪えて勤めていたけど、数ヶ月給料が不払いが続いて暮らせないので会社を辞めたのです。大変な時に辞めるなんてなんて奴だと思われながらもこちらには家庭があるし。
その後、疎遠になっていたところで母が突然の末期がん。あっという間に去り、もともと身体の弱かった父はその後10年、よろよろと兄家族と暮らしていたけれどいよいよ終わりに近づいた頃、どうやら遺書を書いたようです。
兄の友だち立会の元、書いた内容が「◯(私たち)には一切渡さない」との事。苦肉の策に兄嫁を養子として迎え入れて相続させたとか。そんな策を講じてまで我が家には一切、鐚一文払いたくないと言う事を知って、金銭的な問題ではなく家族、親子って言うのは一体何なんだろうと考えさせられました。
給料不払いが続いて辞めた事を根に持っていたのか、それまでの関係があったのか判らないけれど、一体遺産相続と言うとこの数年前の悲しい出来事を思うのです。
自分たちは、相続させてあげられる様なものは無いけれど、それでもこんな思いはさせないように、そんな教えなのかなと思う出来事でした。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。なかなか難しいケースですね。投稿者の方からみれば、こういったお声になるのでしょうが、お兄さんご夫婦からみれば、大変な時に会社を辞めて、その後の面倒(介護)などもしない娘には、財産を渡したくないと思われたのもわかるような気もします。しかし、このお声のケースの場合は、「遺留分」があるケースですね。投稿者の方は、遺留分減殺請求をすれば認められるケースだと思います。その遺留分を減らすためにも、お兄さんの奥さんを養子にとられたのではないでしょうか。このお声の場合の遺留分は法定相続分の半分ですから、相続人が増えれば遺留分は減ります。相続問題もどちらから見るかで大きく変わります。ですからややこしいし、解決しずらくトラブルになりやすいのです。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡