今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
遺産相続というのは、非常にデリケートな問題だと思います。
私の実家は自営業を営んでいました。私は気ままな次男坊の為、高校卒業後は家を出て会社勤めをしています。家業は兄が継いでいました。父は私が学生時代に他界していました。
やがて私も家庭を持ちマイホームを購入し、裕福ではないけれど何とか生活していました。
ある日、兄から「父の預金通帳が見つかったので相続手続きに実印と署名が欲しい」との連絡がありました。私は特に詳しい話も聞かないまま、「分かった、今度の休みに行くよ」の二つ返事でした。
私は家を出ている為、家業を継いで母の面倒を見ている兄に引け目があったのだと思います。実家の家業も決して順調とは言えない中、遺産は兄が相続して当然と思っていました。
相続の書類に署名・捺印して手続きを終えると、兄が「判子代」だと十万円くれました。私は思わぬ臨時収入に喜び、その夜、妻に今回の出来事を話しました。
初めは黙って聞いていた妻ですが、話し終える頃にはあきれていました。我が家も住宅ローンを抱え、何とかやりくりしている状態で、なぜ自分の権利を主張しないのか。「十万円位で喜んでいてどうするの」と。
私は権利を放棄することで、問題ごとを避けていたのかもしれません。自分の家族を守る為、軋轢を生んでも権利を主張すべきだったのかも知れません。この件は、今考えても何が正解だったのかは分かりません。
将来自分も他界し、子供たちにも「遺産相続」が発生します。その時に子供たちが困らないように、生前から良く話し合っておきたいと思いました。
ここがポイント!
お声をいただきありがとうございます。このお声は遺産相続トラブルの本質の部分が垣間見えますね。この投稿者の方のケースのように、兄弟だけではスムーズにいく相続でも。それぞれが結婚し、家庭をもつ核家族では兄弟だけの問題ではないのです。奥様や旦那様の意見が入ってくる。当然にそれぞれの家庭の事情がある。大概がご両者の相続を最初に経験するケースが多いでしょうから、そうなると子供に一番学費がかかるころ。など、スムーズにはいかない要因が沢山あります。この投稿者の方も書かれていましたが、何が正解だったか分からないのが相続です。弊所では相続を「正解のない答え合わせ」と呼んでいます。その相続に正解をだせるのは遺言書です。ゆいごん書であなたの相続に正解をだしてあげてください。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡