今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
今年の夏、私の曾祖母が亡くなりました。曾祖母の夫はすでに死亡しており、子供が四人いたためこの四人が相続人となりました。
曾祖母は生前、複数の土地を所有していたため、この土地の分配について遺言を残しておりました。この遺言には曾祖母が所有していた土地について、どの土地を誰に相続させるかが記載されていました。
しかしながら、その分配方法は平等なものではなく、相続人である曾祖母の子四人による話し合いがなされた結果、遺言のとおりに土地を分配するのではなく、すべての土地を売り、その代金を四等分することになりました。しかしそれはあくまでも口約束であり、その話の内容を文書に起こすこともなければ、公証人のところに言ったわけでもありません。
そしていざ土地を売る段階に入ったとき、相続人四人のうち二人が土地を売った段階で、残りの一人が「やはり、遺言どおりに土地を分配しよう」と言い出しました。そして結局、話を振り出しに戻し、遺言のとおりに土地を相続することになりました。
土地を売った二人は本来であれば土地を売る必要もなくなったのに土地を売り、さらに多額の税金を払うことになってしまったのです。
やはり相続といった大事な局面では口約束ではなく、きちんと文書にして証拠として残しておくことが大切だと感じました。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。このお声では、遺言があったにも関わらず、その遺言とは違う遺産分割をしようとされていました。これは、法的には可能です。しかし、相続人全員の同意が必要です。このお声でもあったように、誰か一人でも嫌だといえば成立しません。遺言がこのように、相続人全員の同意があれば、その遺言とは違う分割も可能です。しかし、それには相続人全員の同意が必要だということ。また遺言執行者がいれば、その遺言執行者は「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の権限を有しており、相続人は遺言執行を妨げることが出来ません」ので、遺言執行者がいる場合は、その遺言執行者の同意も必要です。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡