今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
子供のころからわれわれ兄弟仲は悪かった。親の前ではおとなしくしていたけれど、兄と私とは水と油。小さい時から兄さん顔の兄貴はわたしに命令口調で子分のように接していた。私はそういう兄が大嫌いでいつも反発して成長していた。
父が病に倒れて看病をするのに、兄弟で一悶着。お互いに家庭を持っているから懐具合も違うからだ。
兄は父の葬式のときも偉そうに家長ぶり、わたしを都合よく使っていたが、そのあとの席で早速財産分けのことを言ってきた。
自分は家を守っていく立場でこれからいろいろ物入りだ、そして兄でもあるから財産は全部もらうのが当然だと。
そんなことが許されるわけはない。わたしだって同じ子どもだ。親がいたから兄との縁は切れなかったが父が亡くなってこれが最後、言いたいこと全部言って、もらうものをしっかりもらって、兄とは金輪際会うことはないという態度で応戦した。
葬式が終わって兄とそんな状態がしばらく続いていたが、兄弟仲が悪いことを父が知っていたのか知らぬが、遺品を整理していたら父の遺言がでてきた。
父の残した財産の、兄弟の分け方について書いてあった。兄は家を継いで先祖代々を守っていくようにそのため7割、私が3割で分けなさい。それから最後に兄弟仲良くやるようにとも。
兄としては不服だったようだが、父が残した遺言に従うと最後はひっこみ、わたしはほどなく父の財産をもらうことができた。
父が遺言を遺してくれていたからありがたかったと思っている。じゃなければもっと揉めていただろうし、分け前もあったかどうかさだかではない。
何も残さず行くよりも、遺言を書いておいたほうが、残された者は助かることもあるのだ。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。確かに投稿者の方がおっしゃる通りです。ゆいごん書は遺される人を助けます。ゆいごん書があるのとないのとでは雲泥の差なのです。このお声のケースでは「遺留分」に気をつけなければいけません。せっかく書かれたゆいごん書は、意味のあるものにしなくてはなりません。遺留分を侵害したゆいごん書は無効ではないのですが、遺留分で相続トラブルになっているケースも散見されます。このお声のケースでは投稿者の方の遺留分は、相続財産の4分の1です。ゆいごん書を書くときは、出口、つまり実際に遺言者の思いをきちんと実現出来るものにしてくださいね。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡