今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
私の両親は、私が幼いころに離婚していて、離婚して以来、父とは音信不通でした。昨年の春、その父がなくなったとの連絡を受けました。
唯一の相続人である私が父の相続手続きをすることになったのですが、なにせ長らく音信不通だったため銀行口座にいくら残っているのか、借金はないのか、そもそも、どこの銀行と取引があったのか、全くわからない状態でした。
思いつくすべての銀行を回って、必要な書類を提示し、父の口座がないのかを調べて回りました。まるで、探偵にでもなったような気分でした。そのようにして調べまわった結果、プラスの財産については大体のことが把握できました。しかしながら、マイナスの財産がいくらあるのかについては全くわからない状態でした。
相続放棄も考えましたが、目の前に父が残してくれた財産があるのに、それを放棄する気にもなれませんでした。
そこで私は、限定承認という相続の方法を選択しました。これは、相続財産の限度においてのみ、被相続人の債務を弁済する義務を負うというものです。このせいどのおかげで、安心して父の財産を相続することができました。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。このお声の中にでてきた「限定承認」は、相続においてプラスの部分があれば、そのプラスの部分は相続しますよという制度です。このお声のようにプラスの財産もあれば、借金のようにマイナスの財産もあるやもしれません。そういった場合には、非常に有効な制度です。しかし、この限定承認は相続人全員で行う必要があります。このお声のように、相続人がおひとりであれば問題はありませんが、他の相続人がいる場合は意思統一が必要です。また単純相続にならないように、相続財産の処分などには十分に注意する必要があります。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡