今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
4年前のある日、全く知らない男性から自宅に電話がありました。私の父に千葉県の山林を相続して欲しいという内容でした。全く思い寄らない話で、きっと詐欺か何かだと思い警戒して話を聞いていました。その男性が言うには、私の父は元は千葉県の生まれで、幼い時に大阪の遠い親戚に養子に出された。しかし、そのまま縁が切れてしまっていた。最近、父の実の母が亡くなり、その遺言に私の父に山林を相続させると書いてあったので父を探していた、というのです。私は判断が出来ず、父に確認して折り返し連絡をすると伝えたのです。
帰宅した父に電話の件を伝えると、確かに6歳の時に口減らしに大阪に養子に出されたのだと話してくれました。亡くなった母ですら知らなかったようで、誰にも言えなかった父の複雑な気持ちを感じました。そして父は、両親の墓参りをしたいと言い出したのです。ずっと一人で抱えてきた思いを考えると、どうしても連れて行ってやりたくなり、次の土日に千葉へ連れて行きました。両親の墓の前で、父が泣くのを初めて見ました。
墓参りの後、父は相続を放棄すると相手に伝えました。自分は大阪で死ぬつもりで、使い道のないものは要らないと断固として断ったのです。一人で生きてきた父の意地を見た気がしました。
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