今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
5年前、祖母が88歳で亡くなりました。戦後、まもなく祖父が病気で亡くなり、4人の娘を一人で育ててきました。それぞれが家庭を持ち祖母は、長女家族と暮らしていました。とても社交家で、大正琴や、和裁の習い事で知り合った、10歳以上も歳の離れた友人達と、遊びに出かけたり、食事に行ったりしていました。そんな祖母が、病気になりました。入院、手術と日が経つごとに、体力がなくなり入院して4ヶ月で亡くなりました。通夜、葬儀の話になった時に、祖母の部屋から遺言書が見つかりました。そこには、「葬儀は近親者のみで、親戚にも知らせなくてよい」という内容が書かれていました。友人も多く、親戚付き合いもしていた祖母からは考えられない意外な内容でした。長女である叔母は、祖母の遺志を守り、4人の姉妹とその夫の8人のみで通夜、葬儀を執り行いました。孫である私は、祖母と同じ干支のせいか、幼いころから可愛がってもらっていました。入院中もお見舞いに行ったのは、孫の中では私だけだったので、最初は来なくていいと言っていた叔母も、参列させてくれました。葬儀が終わり、2週間程過ぎた頃、祖母方の親戚が叔母の家に来て、「死んだのに連絡もよこさないのはどういうことだ」と大騒ぎになったそうです。「入院したのも知らなかった。せめて葬儀だけでも行きたかった。どうしてそんなに冷たいんだ」と言って責められたそうです。叔母が遺言書の事を話すと渋々納得して帰ったそうです。私はその時に、遺言書を書く時は一人で書くのではなく、周りの人と相談しながら納得した上でしたためるのが、一番良いのではないかと思いました。亡くなった後の親戚や、家族の気持ちも考えてくれると、安心して葬儀を行い、故人を偲ぶことができると思いました。その後、祖母方の親戚は法事に招待したので、わだかまりが取れたそうです。
相続・遺言体験談 多数公開中。