今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
私が始めて遺言を聞いたのは、大好きな祖母が危篤で集中治療室に入っていたときでした。
その頃私は祖母の住んでいる実家から遠く離れた土地に住んでいました。前々から祖母が入院して調子が悪いことは聞いていたので、子供たちの休みに合わせて近々里帰りをするつもりでいました。
ある日の早朝、妹と母親から祖母が集中治療室に入ったと連絡がきました。主人がすぐに実家へ帰るように言ってくれたので、準備もそこそこに私は一番下の息子を連れて帰路につきました。
病院につくと、祖母は呼吸も荒々しく、とても苦しそうにしていました。声をかけると、『ばあちゃんはもう駄目だから。みんなで仲良くしてね』と私に向かって途切れ途切れな声で言いました。私は涙が止まらなくなり、必死に手を握りました。祖母の妹も隣にいて、私と一緒に声をかけつづけました。
そうすると、奇跡的に力を取り戻し、祖母は持ちこたえたのです。これには本当にびっくりしたし嬉しかったです。また祖母と話ができると思いました。
しかし私はまた子供たちが待っている家に帰らなくてはなりません。意識が朦朧としている祖母に『またすぐに子供たちを連れてくるね』と伝え、病院をあとにしました。それから数日後、今度はあまり苦しむこともなく、祖母は息を引き取りました。最期にそばにいることはできなかったけれど、私にむかって伝えてくれた言葉は、大切な遺言だと思っています。
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