今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
母方の祖母が亡くなった時の話です。
祖母は伯父と同居しており、結婚した母だけが故郷を遠く離れて暮らしておりました。
祖父は早くに他界し、結婚して二人の男児を授かった伯父夫婦が同居することになったそうです。
しかし、それは一人暮らしとなる祖母を支えるための思いやりなどではありませんでした。
定職に就かなかった伯父が、自分と家族を養うために祖母を頼っただけなのです。
その後、伯父夫婦が離婚した後も、引き取った子ども達の世話を祖母がしながら同居生活は続いたのでした。
年が流れ、いとこ達も成人して独立し、伯父は無職のまま祖母と同居していましたが、
老いた祖母は入退院を繰り返すうちに、ふだんの生活もままならない事から介護やデイケアを利用するようになりました。
母も度々帰郷しては祖母をいたわり、無関心な伯父に抗議していたそうです。
やがて、訃報の連絡が届きました。
哀しみにふける間もなく、遺産相続の分配で醜い争いがはじまったのです。
相続者は母と伯父二人に叔父一人。
伯父二人が手を組んで、母と叔父の知らないところで、祖父や祖母の遺産や金銭を使いこんでいたようです。
特に、祖母と同居していた伯父は祖母自身の口座の通帳と印鑑を所有しており、
本人の許可なく高額な金額を引き落としていたことも明らかでしたが、それを裏づける事のできる証拠を入手する事はできませんでした。
祖母が亡くなった時点で財産は200万あまり。
民法に従って四人で分配するにはあまりに不公平であったため、母と叔父が相談しあって家裁で決着をつけることにしたものの結果は無残なものでした。
まず、依頼できる弁護士の人材が不足しており、年齢も実績も相応しい弁護士は既に伯父二人と契約を交わしていたのです。
そして、やはり証拠が不十分であること。
口座の残高から引き落としの事実は認められても、それを伯父が不正に横領した事実を突きつけることは出来ませんでした。
それどころか、祖母が生前、母に対し住宅ローンの頭金にと都合してくれた金銭が生前贈与の扱いになってしまったのです。
このため母の相続分は無いに等しい結果に終わりました。
祖母の死から親族争いまでに至り、祖母が遺言を何故残さなかったのか、母もしばらく恨み言をこぼしていました。
遺産贈与は故人を悼む中、慎ましく行われるべきだと考えさせられる出来事でした。
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