今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
相続争いは、財産の多い少ないに関係なく、付属品のように葬儀の後についてくる。それは、夫の父親が亡くなり、まだ初七日も明けない内に始まった。
夫の父親の財産、主に家・土地を誰が継ぐかで、親族の間で言い争いが起きた。
夫の母親が健在なのだから、姑が家・土地をそのまま継げばよいのではと、私は思ったのだが、親族一同が納得しなかった。
代々継いできた家を、嫁の立場である姑が継げば嫁の実家の物になると言うのだ。子どもがいるのだから、それはないと思うのだが。
その家に住むのはかまわないが、名義を妻名義にするのは、断固反対と言う。
もともと、親族一同が盆・暮れ・正月、冠婚葬祭と何かにつけて集まることの多い家で、親族のつながりが希薄な私の実家と違い羨ましいと思っていたのだが、わからないものだ。
散々もめた後、結局は長男である私の夫が、家・土地を継ぐということで落ち着いた。が、次は母親が言い出した。
同じ立場の嫁である私が、もし夫の死後家・土地を継ぐのは許せない。
そこで、夫の一言「俺が死んだ後、家・土地は継がない」と一筆入れてくれ。
夫の実家は、無医村の過疎地。私は、そのような田舎に興味はなく、「放棄します」と一筆入れたのだが、気分はよくない。
母親は、自分が親族にされた仕打ちを私にもしたのだろうが、何だか夫の親族とは付き合いたくない気分になった。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。相続というのは、出来事としては大きいだけに、問題が起きやすいですね。このお声の場合の問題は、ゆいごん書を書いていなかったことです。ゆいごん書で、財産を受け継ぐ人を決めておけば、もめることもなく、いやな思いをすることもなかったと思います。また、相続が発生する前に相続を放棄することは出来ません。ですから、このお声にある「放棄すると一筆いれてくれ」は、法的にはなんの意味もありません。ただし、「遺留分」は相続が発生する前に放棄することは出来ます。その場合は家庭裁判所に申し立て、許可をうける必要があります。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡