今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
法事に出かけていった時のこと。故人は九十歳の大往生で、その法事ですから、集まるのもご年配の方ばかりとはいえ、故人の息子さん、娘さんもまだまだお元気だったはずなのに、なぜか集まったのは私達始め、遠縁のものばかり。「どういうことなの」と夫に尋ねると、夫からは意外な答えが。
「実は、相続でもめちゃったらしくて、没交渉らしいんだ」
「そんな。だって確か、遺言が残っていたんでしょう。もめるなんてことあるの?」
故人は自分の死後、子どもたちが遺産の取り分で喧嘩になるのではないかと心配して、生前に専門家に相談してしっかりした遺言書を作成していたのです。さらに、公正証書にして残していたのでした。ところが全てのことを家族に内緒で一人で行っており、死後突然遺言状が出てきたのでさあ大変。取り分を期待していた親戚は怒り、そもそも故人に公正証書なんて知恵をつけたのは誰だなどと言い出して、すっかり関係が悪くなってしまいました。これでは故人も浮かばれません。
遺言はきちんとした形で残すのはもちろん、その作成プロセスも内容と同じように重要なのですね。故人が遺言作成の段階で親戚に遺言内容や作成スケジュールについて一言でも告げていれば、のちのちこのような寂しい法事を挙げなくてすんだかもしれません。
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